viBirth Artist Interview♯015『SEXY-SYNTHESIZER』

昨今、CMやらドラマを観ていても、80年代のクールで華美なファッション性を取り上げる傾向が多々あるけど、今回の主人公=SEXY-SYNTHESIZERはこれを素でやっている。脇目も振らずに。当然ながら、否応なしに自身が育った環境にこの時代を通過した経緯があると理解していながら、そこに立ち止まっては考え、気がつけば世間では21世紀を超えて“シーンは、80’sリバイバルが新しい”なんて言われてもいても、そんなことはお構いなく原体験をもとに遊び(=余裕)とノスタルジーを極限まで追求している。
取材を依頼されて、約一カ月半。この間、取材を敢行するに際し、SEXY-SYNTHESIZERの音楽を生活のあらゆる場面にぶつけてみた。僕自身も数多くの音楽ジャンル・カテゴリーがある中で、彼同様リアルタイム世代ということもあり、80年代というフィールドにとりわけ思い入れが強い方だ。当然、「チップ・チューン」「8bit」そして「ヴォコーダー」というサウンド・エッセンス或いはキーワードは、生活を取り巻く空間も、また自身の原風景にも恐ろしいほどよく馴染む。
一方で、彼自身の手によってアップされているYouTubeのライブラリーでは、恐らくリアルタイム世代ではない若者が、ショウ・タイムで狂喜乱舞し、次々と放たれるサウンドや映像に両手を上げて享受している映像が鮮烈に飛び込んでくる。こういう仕事をしているせいか、そういったサウンド・志向性を好む若者が急増していることはよく知っているが、同世代の人たちには少しその光景に歪(いびつ)さをおぼえるかもしれない。そんなシーンの中でも群を抜いて絶大なる支持を誇るSEXY-SYNTHESIZER。「80年代サウンドはピコピコ、00年代サウンドはチリチリ」という季節を過ぎ、いま再び「ピコピコ・サウンド」に注目が集まっている。
06年に活動をスタートさせたSEXY-SYNTHESIZER。以前は、テクノ~ハウス・ミュージックを主に活動を行っていたというが、音楽人としては当然とも言うべき自身の音楽的源流を遡る旅に出る。その辿り着いた先にあった原風景は、80年代初頭に一世を風靡したアーケード・ゲームやらファミコンといった、誰しもが熱狂したゲームだった。かのYMOも結成に際して、当時3人がインベーダー・ゲームにはまっていて、このエッセンスとエキゾチカ~モンド・ミュージックを融合させるヒントを得たという経緯はとりわけ有名な話だが、SEXY-SYNTHESIZERもそんなYMOサウンドに、幼少期に強烈な洗礼を受けたという。ゲームや音楽なんて、幼少期~思春期では、勉強の妨げになる悪の代表格。小学校時代、テストの成績がよかったご褒美に、Roland社製シンセサイザーの名器「SH-2」を買ってもらったというから、よほど早熟で、執着はこの頃からずば抜けて高かったはずだ。その後、シーンの変化やテクノロジーの進化、或いはまた別のカリスマが出現すれば、自ずと心変わりするリスナーも多いが、踏みとどまることを恐れず(笑)にさらに掘り進めた。それを証明する事実として、当時のテレビ番組や音楽資料、機材をきちんと当時からコレクトしているという。また、昔は喫茶店などでよく見かけた筐体型のゲーム機を自宅スタジオに完備する徹底ぶり(来訪者はちゃんと100円を入れて楽しむらしい)だ。
Myspaceで楽曲をアップしてまもなく、国内外問わず各所から話題騒然となり、幻のデビュー作『ROCK』を発表。その後、スタジオジブリや70~80年代洋楽ポップス或いはディスコ・ミュージックをモチーフとしたカバー作品を次々と繰り出してきた。「誰もが知っているマジョリティな楽曲にこそ、遊びの要素がふんだんに盛り込める。ただ、選曲やアイデアも大体携わっている人たちとグダグダ飲んでいるときに、ケラケラ笑いながら組みたてることが多いかも(笑)」と言うが、作りこみは長年に渡って培った技術・感性を裏付ける、実に執念めいた完成度の高さに圧倒される。一連のカバー作品は、SEXY-SYNTHESIZERという名前、或いはコンセプトやサウンドの核を広く知ってもらうために、いかに腐心したかということが伺える。
その真骨頂ともいえる洋楽のポップス~ディスコ・ミュージックをモチーフにしたアルバム『V.A. SEXY-SYNTHESIZER PRESENTS FUNKY-BIT』に収録されているオリジナル・ナンバー「CALLING ME」という楽曲にPVも同時制作されている(YouTubeをご覧頂きたい)。
ブロンディを彷彿させるタイトル、ニュー・ロマンティック調な出で立ちの本人、ディスコ全盛期を匂わせるスペーシ―で荒い合成映像、「夜ヒット」をはじめとする歌謡番組でよく見かけたテロップのフォントなど、時代の空気感をまるごとパッケージングし、楽曲のクオリティをさらにボトム・アップさせている。撮影にあたってメイク、スタイリストを置き、映像クルーは当時のビデオカメラを購入し、当時の雰囲気を極限まで緻密に伝えている。「安全地帯の玉置浩二に似せた(笑)」というキメキメのメイク、そしてカメラ目線で歌い踊る彼の姿に、初見でいささか狂気めいたものを感じたが、自覚あるなしに関わらず、“時代の伝道師”としての本気っぷりを見事に証明している。
9月には自身の別名義「HAPPY-SYNTHESIZER」でのキッズ曲カバーアルバム「Sing Along with HAPPY-SYNTHESIZER」のリリース(収録曲『テクテクマミー』のPVは必見!)、また秋以降には学園祭やイベントの出演が続々と決まっている様子。フロア~スペースが、極上の「ピコピコ・サウンド」で埋め尽くされること間違いなし!!詳細はオフィシャルHPをチェック(http://www.sexy-synthesizer.com/)。
引き続き、viBirthはSEXY-SYNTHESIZERをプッシュしていきたい。
| viBirth Shop Widget | Artist :SEXY-SYNTHESIZER |
| 「私の名盤」 | Recommend Album (紹介アルバムは 上記 viBirth Shop Widgetからも購入出来ます。) |
| ■SEXY-SYNTHESIZERがセレクトした「私の名盤」 | |
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◆Comment 80'Sテクノの名盤。 そして、その内容はほとんどがロックンロールのカバーというこの謎なユニット、どうやらMUTE RECORDS(イギリスのインディーズ・レコード・レーベル)の社長ダニエル・ミラーの覆面ユニットらしい。 なんともポップでキッチュである。 まさにタイトル通り、パーティーでこれをかけて踊りたくなる1枚。 こんなバンドを一度組んでみたいなと本気で思っています。 |
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◆Comment HOUSE MUSICの名盤。 自分が若かった頃、『オリジナリティーとは何か?』ということに悩んでいたとき、この音楽が答えてくれた。このアルバムは、いろいろな曲をサンプリングして作られている。 しかし、彼は 『俺がそれらをチョイスして作った事。これだってオリジナリティーだろ!』 と言っているかのような作品達。 ハッ!として、自分の音楽の世界が大きく広がった。彼が作る音楽は、ある種のポップアートのようである。今聴いても、色あせる事が無く新鮮である。 |
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◆Comment 80'S アーケードゲームの音楽の名盤。 このアルバムを久しぶりに聴たことがきっかけで、 SEXY-SYNTHESIZERをスタートしたといっても過言ではない。 ゲームミュージックという言葉や認識が生まれたのは、もしかしたら、このアルバムからなのかもしれない。パックマンやゼビウスなどゲーム筐体から発せられる音楽や効果音の凄さを感じてもらえれば。 自分が基本に帰るとき、必ず聴くCD。 |
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