viBirth Artist Interview♯012『LACCO TOWER』

新章、突入!
新生LACCO TOWER(ラッコタワー)の新作『短編傷説』到着!
自らに使命と責任を課し、バンドをそして音楽活動を続けていくこと。それは常人では決して触れることのできない悦びと快楽がある。しかし、そこには抱えきれない無数の傷と強大な痛みも伴う。それは今回取材したバンド「LACCO TOWER」だけでなく、国内~国外問わずオーバーグラウンドを目指すバンドやアーティストにも、これと同様のことが言える。
LACCO TOWERのメンバー全員が昭和56年生まれの同い年。群馬県、兵庫県、東京都と育った環境こそ違えども、バブル経済が崩壊した90年代以降に多感な時期を過ごした世代。この世代の特徴或いは共通する点は、一度も社会的に潤ったという実感を手にしていないことだ。経済力も、学力も、容姿も、バブル経済が崩壊するとともに、それまで横たわっていた全ての評価基準がもろくも崩れ去った。そして携帯電話やインターネットの普及によって個人の志向性を重視し尊重する世の中へと変貌した。多感すぎる世代にとって、気がつく前に個人に委ねられ、正しさと過ちがわからないまま成人を果たし、社会に投げ出されるという、時代の弱者的な一抹の悲しさが付きまとっている。
一方で、彼らがまだティーンの頃、地元でCHAGE&ASKAや小田和正、DREAMS COME TRUE、Mr.Children、B’z、X JAPANといった国内ポップチャートを賑わす音楽に影響を受けて、楽器を持ち始めた。恐らく、この時代にバンドを始めた人たち・世代にとってはこういうきっかけや経緯は決して珍しいことではない。00年代ももうじき終えようとする今振り返ると、そんな価値基準が崩壊した90年代に、世間に救いを求めたのは、60年代後半或いは70年代の世界的な緊張関係の中で、一人ひとりの苦楽に寄り添ってヒットした流行歌同様、彼らもまた閉塞感漂う時代を反映・象徴する音楽に、自然と心身を寄せ、刺激され、奮起していったのかもしれない。これは、あくまで推測の域を超えることはないが。

新作『短編傷説』は初夏前、ツアー終了後の勢いそのまま、山中湖畔にあるスタジオでわずか5日間という驚異的なスピードで一気に仕上げた渾身の一作。「これが、いまのすべて。出し切っている」(塩崎啓示/Bass)と本作を語る言葉に、長く険しい道のりを歩んできた苦労や悲壮感を前提にありながらも、ポジティヴであり、自信に充ち溢れていたのが印象的だった。
同世代のバンドと比較しても決してひけをとらない卓越する演奏能力、そして圧倒的なパフォーマンスで魅了するメンバーはもちろんのこと、フロントマンで作詞を担当するVo.の松川ケイスケの鋭く繊細で刹那的な状況描写や、決して断定的な言い回しをしないその歌詞のどれもが、70年代ニュー・ミュージック黎明期の表現や温度にも似ている。「愛」を悪戯に説く音楽、また抽象論で核心を濁すポップスが横行する昨今。「たかだか20数年。断言できるほどの説得力やテクニックで抽象的に表現するほどの人生経験を、僕はまだしていないんですけど」(松川ケイスケ/Vocal)と控えめに話すも、改めて聴くと意外なほど“新鮮”に耳に響く。リアルタイムを体験していない、極めてセンシティヴな若い世代のオーディエンスが彼らの音楽を享受するということは、社会的にも或いは精神的にも同じ傷や痛みを抱えたリスナーの共感や賛同を得ていることを裏付けている。また時代を超えて30代を過ごすリスナーも、眠っていた感性を喚起する可能性を多分に含んでいる。
7月21日(火)にはバンド結成7周年を迎え、翌日リリースの本作『短編傷説』を引っ提げ、彼らは再び全国ツアー漬けの日々を送る。我々も、彼らの今後の活動をしっかりとサポートしていきたい。

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| ■LACCO TOWER (松川ケイスケ)がセレクトした「私の名盤」 | |
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◆Comment 何を隠そう、これは僕が人生で一番最初に買ったCDです。 あの頃はまだ携帯できるプレイヤーがウォークマンくらいだったから、でっかいウォークマンにこのアルバムの曲を全部詰め込んで、いろんなところにチャリで出かけたのを覚えています。その後、いろいろな音楽と出会いましたが、僕の青春のスタート地点になったこの一枚が、今でも僕には名盤です。 |
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◆Comment 僕の神様、財津和夫率いるバンド。非常に強くビートルズの影響を受けた感がある一枚。ぼくがチューリップを知ったのはドラマ「一つ屋根の下」。当時では考えられないくらい母親にねだり、このCDを買ってもらった記憶がある。まだ恋とか愛が何者なのかも知らないあの時。このCDは僕の胸に恋愛のときめきというものを教えてくれたような気がする。 |
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◆Comment SMAPの曲をジャズ・アレンジでプレイした企画盤。この一枚というよりも、僕はトラック9の「RATHER THAN HEARING YOUR VOICE」この曲に胸を打ち抜かれました。確かこのCDをはじめて聞いたのは20代前半の頃。この9トラック目でボーカルを取ったハイラム・ブロックの歌に、はじめて「歌で感動するって言うのはこういうことなんだ」と教えられました。珠玉の一枚です。 |
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