
これまでの充実ぶりをアピールした入魂の作品集『marble』が好評のシンガーソングライター=野上信幸。ハード・ロックに始まり、UKロックシーン、渋谷系ポップス、オルタナティヴ・ロック~グランジ、ポスト・ロックなど、80年代後半から90年代の混沌とした音楽シーンに強烈な刺激を受け、共に成長してきた、いわゆる“王道の音楽遍歴”の持ち主だ。一見普通だが、音楽人としての活動と並行して、日中はバリバリの営業マンとして勤しむ彼だからこそ、時折見え隠れする親しみやすさと共感、理解をいずれの楽曲から見出すことができる。既存のカテゴリーの壁をぶっ壊すことではなく、敢えてソロ名義を複数走らせ、それぞれのスタイルを突き進む器用さをも持ち合わせる彼が、音楽人として新たな可能性を見つけた先に辿り着いたサービス「viBirth」。
出会うべくして出会った僕らは、彼と対面し思い切って質問をぶつけた。
──ご出身は長崎県長崎市。どんな街でした?
野上:今はどうかわからないですけど、僕が青年期を過ごした90年代初頭時点ではとにかく文化度の低い街だった。当時ビームスやポール・スミスを着ている人以外は、全員腰パン(笑)。知性とか洗練さとかは一切なく、趣味志向が二極化していて、僕は前者。完全にマイノリティでしたけど。
──音楽文化はどうでした?
野上:長崎発のメジャー・アーティストが福山雅治とさだまさし(笑)。これも二極化の因子なんでしょうね。その反動なのか、学生時代はハード・ロックに開眼するという(笑)。
──長崎県に第三極誕生の瞬間じゃないですか。
野上:大学進学を機に上京するんですけど、もう頭の中では長崎を脱出するしか方法はないだろうっていう。長崎で何かを興すっていう気がさらさらなくて。
──野上さんの創作活動における原風景的なことを訊くつもりだったんですけど(笑)。
野上:長崎という地域、その限られたニュースソースの中で、リスナーとして当時シーンを賑わしていた洋楽や邦楽は、可能な限り漁るように聴いていました。並行してコピー・バンドでライブ活動を行ったりはしていたんですけど、格段に音楽的な志向の幅と奥行きを持たせたのは、MTVとかスペースシャワーTVといったミュージック・チャンネルとの出会いが大きかったかもしれません。そういう下地があって、上京してからの活動がいきていると思うんですけど。
──宅録を始めたのもその時期から?
野上:そうですね。Chemical BrothersやUnderworld、Boom Boom Satellitesといったダンスとロックのクロスオーバー・ミュージックがシーンを賑わせた時期あたりに、光を見出したっていうか。個人で完結できる作品に挑みたかったんだと思います。ただし、その一方で、宅録制作はめちゃめちゃお金かかりますけど(笑)。
──野上さん、1976年生まれなんですね。
野上:そうですね。今年で33歳。
──公式HP中プロフィール(http://web.mac.com/nogami_nobuyuki/iWeb/Site/profile.html)の「Favorite Artists」を見ていて、世代感が前面に出た、特徴的なアーティストの名前が列記されていました。
野上:ただただ「雑食」ということなんですけどね。僕は、音楽だけじゃなくどんなものでも非常に影響を受けやすい、敏感な性格なんです。音楽だけでいえば、アーティストの名前だけ挙げれば、当然キリがないほど挙がってくるんですが、厳密に言うと「あのアーティストの、○○っていう楽曲」っていうのが正しい言い方なんでしょうけど。
──これも世代の大きな特徴ですよね。DJ的な感覚というか。それまでの体系的で縦割りだったジャンルを突き詰めて聴くというよりも、フィーリングを重視して横割りで“切り口”勝負を挑むという。
野上:そうなんですよね。特別「誰々というアーティストを延々追っかけたり、崇拝する」というモチベーションがないまま現在に至っている。過去に優れた楽曲を与えたくれたアーティストに対する期待感はずっと持っていたりはするんですけど、同じアーティストでも個人的に受け入れられない楽曲やパフォーマンスはバッサリと切り捨てる潔さはあったりするし。
──となると、作品の原子を生み出すための下地、ある種のコラージュの対象となる被写体を前に、選択眼或いは目利き(耳利き)に費やす時間や労力が相当多いんじゃ?
野上:そうかもしれない。作る前も、出来上がった後も「どこまで聴いてくれる人と共有できて、どこまで聴いてくれる人に譲歩できるか、理解してもらえるか」、常にそのせめぎ合いなんですね。しかも、ソロなんで、僕個人がやりたい方向へとある程度正しく導かなければならない。“内部分裂”を引き起こす恐れも当然ある。だから、楽曲を作りながら、自分の音楽と影響を受けた楽曲との親和性やら共通項っていうのを、振り返っては現在地を確認する作業がとにかく多いんです。
──それら影響を受けた偉大な楽曲と、野上さんがviBirthにアップしているこの集大成的作品群『marble』との親和性・共通項って、今振り返ってみて、どのあたりに感じられます?
野上:・・・。「絵心」かなぁ。「快感」と「浮遊感」が前提としてあって、聴いた瞬間にどこか違う場所へ誘う音楽。そして誘った先にしっかりと「伝えたい風景が描けているか」っていうところかな。公式HPに掲載したアーティストのそれぞれのFavoriteな歌には、その導線と主張がしっかりと為されているような気がしますね。そこを意識しながら制作したと思う。
──それ故に、市場で細分化されているジャンル・カテゴリーをあえて集約させずに、ソロ・プロジェクトの名義を分けて、それぞれの活動を走らせているということなんですよね?
野上:うん。そういうことですね。
──日中は別の仕事をしながら、音楽制作をやってらっしゃるんですよね?
野上:そうですね。日中は、保険のセールスマンをやってますよ。営業職、自分では何気に向いていると思います。話をすることも楽しいし、お客様に納得してもらえればきちんと成果がついてくるし。ただ、まぁ、人並みに仕事をしていく上での苦労はたくさんありますけど。
──今後、そういった「仕事にフォーカスを絞った日常的な営み」を作品に反映したいとは?
野上:厳密に言えばあるんでしょうけど、あまり意識はしていないですね。そこまで作品に集約しなくてもいいんじゃないかと。ただ、どうなんだろう、今後はそういった楽曲ももしかしたら生まれるかもしれないですけど。
──その時々のモチベーションによる?
野上:うん。やりたい方向性さえ定まっていれば、今はviBirthを軸とした各種WEBサービスを手軽に活用したり、連動させて拡販することもできるわけなので。楽曲が出来上がれば、「どう組み立てて、売っていくか」。ここに集中できる環境があるっていうのは、制作者にとって安心して創作活動に打ち込めますよね。僕のような異業種の仕事と並行して宅録を行っている人間でも、楽曲ごと、プロジェクトごと、そしてこういったサービスも、まずはセルフ・マネジメントさえブレずにしっかりしていれば、自分の作品を中心にたくさんの可能性が無限に広がっていると思いますよ。
──viBirthの理念をよくわかってらっしゃる(笑)。
野上:そのためにも、僕自身、もっともっとviBirthの使い方や発展型を研究して駆使しなきゃいけないですけど。営業マンとして日々の仕事を走らせていると、なかなか時間が作れないんですよね(笑)。ここのマネジメントがきっちり働いていない。マイペースでがんばりますけど。
| viBirth Shop Widget |
Artist :野上信幸 |
| 「私の名盤」 |
Recommend Album (紹介アルバムは 上記 viBirth Shop Widgetからも購入出来ます。) |
| ■野上信幸がセレクトした「私の名盤」 |
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| Title : |
OUT LOUD |
Artist :
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Boom Boom Satellites |
| 品番 : |
AICT-35 |
| レーベル : |
ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ |
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◆Comment 僕が自分のやりたい音楽を模索していた時 に出会った一枚。僕はこのCDを聴いて 「そっかぁ、こういうアプローチがあった か!!」と衝撃を受け、サンプラー・シー ケンサーを買いそろえました。このCDに 出会っていなければ、ひょっとしたら未だ に自分のイメージを具現化できずにいたか もしれない。。。 僕にとっての最重要盤 です。 |

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| Title : |
OK COMPUTER |
Artist :
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radiohead |
| 品番 : |
TOCP-70715/6 |
| レーベル : |
EMI Music Japan |
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◆Comment パブロハニー、ベンズで培ったバンドアン サンブルと、その後のポストロックへの傾 倒も予感させるオーディオエディットがバ ランス良く配された名盤。無機質と有機質 が混在しているため、よりそのコントラス トが浮き彫りになり、それぞれの旨味が味 わえる。このバランス感覚には多大な影響 を受けました。 |

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| Title : |
POINT |
Artist :
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Cornelius |
| 品番 : |
MVCG-87 |
| レーベル : |
MCAビクター |
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◆Comment 僕にとって小山田圭吾は理想的な存在。 常に新しい音楽を消化し自分のモノにして いる点も、パッケージングも含めたセルフ プロデュースに長けている点も、音楽のみ ならずファッションにおいてもオピニオン リーダーである点も、全面的にリスペクト しています。日本が世界に誇る非常に希有 な才能だと思います。 |